RSS | ATOM | SEARCH
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

author:スポンサードリンク, category:-,
-, -
宇宙 怪談話
 先日、久方ぶりに田舎の実家に帰りました。のどかな田園風景をのんびり車で走らせていると、昔と変わらぬ景色にホッと心が落着いてくるのでした。こんな田舎が嫌で出てきたはずなのに、やはりふるさとはいいものですね。田んぼの間をしばらく走り、目印の電柱を通り過ぎ、見慣れたたばこ屋の角を曲がると懐かしや平屋作りの我が家が現れました。家の側の草っ原に車を停め、玄関の扉をガラガラと開けて声を掛けました。
「おや珍しい」
廊下の右手にある和室の戸が開き、両目が光っている祖母が顔を覗かせました。「疲れたでしょう。ゆっくり休んでいきなさい」優しい労いの言葉はどうやら私の頭の中に直接語りかけられているようで、祖母の口はピタリと閉ざされたままでした。
「あらま、どうしたの」
廊下の突き当たりにある台所から、母のエプロンを装着したグレイ(※グレイ)が小走りで現れました。2人は私を招き入れるとしっかりと鍵を閉め、早く台所へ来るよう脳内に呼びかけました。
廊下を渡る際祖母の和室を覗くと、水で満たされた巨大な水槽に本来の姿の母が浮かんでいました。縁側から見える畑は幾何学模様に刈り取られ、上空の巨大な何かに向かって、家畜の牛と近所の住人達が次々と吸い込まれていました。
台所に案内されると、そこには自分と同じ背丈のグレイが待っていて、小さな宝石を私に見せました。その宝石が放つ光を見ていたら意識が遠くになってきて、そんな私の脳に彼は語りかけるのでした。
「コノホシヲ、ワレワレハ、ノットル。ワレワレノホシダッテ、ジンコウゾウカデ、タイヘンナンデス」
私はうっとりとした気持ちになり、彼と一体になるような錯覚に落ちていきました。するとそのとき、玄関のドアを蹴破る音がして、黒スーツのアメリカ人2人がでかいレーザー片手に踏み込んできました。2人は祖母、そしてエプロン姿のグレイをためらいもなくレーザーで消し飛ばしました。上空に待機している飛行物体も、無数の戦闘機によって難なく撃ち落されました。最後に、黒スーツの2人は中途半端に宇宙人と融合した私を持て余し、なにやら口論の末、結局何もせずに帰って行きました。
こうして私は中途半端な容姿になってしまいました。家族を失い、ふるさとを失いました。
いや。違う。ワタシノフルサトハ、コノソラノ、モットムコウ。イツカキット。ムカエガクル、ソノヒマデ。ワタシハマツ。 これは全部本当の話です。
author:talk-street, category:読むコント, 01:12
comments(0), trackbacks(0)
実録 怪談話
コンビニもスーパーもない田舎道を走っていました。日は暮れ始めており、今夜の飯はおあずけだなと思っていた矢先、そのレストランは突如現れました。田んぼの真ん中にぽつんと立つその店は、薄暗い街灯に照らされて不穏な存在感を漂わせていました。
駐車場に車を入れ、音の鳴る木戸を押し開けると、店内は家族連れの骸骨でいっぱいでした。恐怖でその場で立ちすくみ、ふと壁に目をやると、料理長のフランケンシュタインの写真が掛けられていて大きくてゾッとしました。しかも得意料理は「人肉料理」で血の気が引きました。
有名妖怪の色紙もたくさんあって、カッパさん・から傘おばけ等に混じり、あの口裂け女と人面犬もいて、ホテルの裏の墓場で見た光景がよみがえって吐き気をもよおしました。BGMはずっとお経で、座った椅子は江戸川乱歩の人間椅子(やっぱり!)、出てきたボーイは手足が無いので「芋虫」でした(王道!)。出てきたスープには味が無く、これはなんのダシを使っているんですかと芋虫に尋ねると、ダシはこれから入れるのだと言って舐めるようように私を見て笑いました。厨房の入り口に掛けられた暖簾の隙間からはフランケンシュタインが覗き見し、気が付けば骸骨達もよだれが出そうな顔でコチラを凝視していました。新たに入ってきた客が江戸川乱歩本人だったこともありしばらく気を失って、煮えたぎる鍋からからくも飛び出した私は車に飛び乗り、一目散に逃げました。
これも全て本当の話です。あと、走ってるときバックミラーを見ると後部座席にカッパが二匹座ってもいました。
author:talk-street, category:読むコント, 19:02
comments(2), trackbacks(0)
一足早く 怪談話

田舎のホテルで急遽一泊することになりました。
もはや辺りは暗くなっていて、山あいにひっそりと建つそのホテルを見つけることが出来たのは幸いでした。薄汚れた外壁。壁に並ぶ部屋の窓はどれも電気が消えていて真っ暗でした。4階建ての屋上付近に付けれた〇〇ホテルという看板が不気味に灯り、営業中であることをかろうじて知らせていました。
駐車場に車を止め、ぼんやり明かりの漏れている入り口のガラス戸を押すと、受付に骸骨が立っていました。恐怖をこらえて記帳を済まし鍵を受け取ると、それは404号室で「死」を暗示していました。背筋が冷たくなり急いで部屋に入ると、荷物を置いてまずはシャワーを浴びる事にしました。最初血の出るシャワーに驚かされ、カーペットには血痕を拭き取った跡がくっきり残っていて(しかもまだしっとりしていた!)、テレビはどのチャンネルを回しても女の悲鳴だけが聞こえてきました(※画面は暗いまま)。カーテンを開けて外を見るとそこはやはり墓地で、墓の合間を口裂け女が人面犬を連れて散歩していました。見ると他にも妖怪がたくさんいて、嫌になり部屋に目を戻すと、さっきの骸骨が入ってきていて仰天しました。そして朝まで気を失って、早朝骸骨にお金を払って逃げるようにチェックアウトしました。
全て本当の話です。あと、最後走る車を骸骨が追いかけてもきました。

author:talk-street, category:読むコント, 00:36
comments(2), trackbacks(2)
読むコント「KOSE ビューティ」
その日KOSEは自社製ジェットを飛ばし、上空から化粧水を散布した。
本社のある東京は特に念入りに撒いた。その後、水戸〜仙台〜盛岡〜青森と撒いていき、そこから進路を戻して秋田へ。そのまま新潟〜群馬〜埼玉と来て、再び東京に散布。徹底して東京には散布した。東京を制する者は日本を制す。学生街・オフィス街。駅周辺はもちろん、郊外にも古い家並みにも保湿成分たっぷりの化粧水を撒き散らした。
基本的にはジョウロくらいの勢いで撒いていた。時々ミスト状にしてみたり、滝のように豪快に流してみたりして変化をつけた。
世の女性はKOSEに切り替えた。
それを聞いたPOLAは憤慨した。POLAも負けじと自家製ジェットを飛ばした。そして本社のある東京を中心に化粧水を散布した。
資生堂も自社製ジェットを飛ばし化粧水を散布した。
ウテナも花王もDHCもジェットを飛ばした。その他通販の化粧品メーカーや、更には海外の化粧品メーカーまで参入し、東京上空には常に何機ものジェット機が旋回していることとなった。東京は昼夜問わず轟音に包まれ、下界にはとめどなくバケツの雨が降り注いだ。
そんな状況が続き4日目だったかなあ。
日本橋にあるKOSEの本社は溢れかえった化粧水に流されてしまった。
author:talk-street, category:読むコント, 03:54
comments(0), trackbacks(7)
読むコント「タイヤ」
昼前の喫茶店には、その3人の婦人以外客は一人もいなかった。3人はデザートを食べ終え、空のデザート皿は片付けられることなく置かれていた。3人はコーヒーをちびちび飲みながら、かれこれ2時間半も話を続けていた。話題はもっぱらタイヤのことだった。
「タイヤって磨り減るじゃない?」
「擦り減る擦り減る」
『走ってる車をよく見ていると、擦り減った粉が舞うのが分かるわよ』
「ほんと?」
「まさか、嘘よ」
3人目の婦人が大括弧で驚くべきことを言ったので、2人は彼女に注目する。
彼女は3人の中では一番口数が少なかった。
この3人はよく一緒にお茶をするのだが、3人目の婦人はいてもいなくても変わらないんじゃないかと、残りの2人は思い始めていた。2人はもはや3人目の婦人に夢中だった。
3人目の婦人が大括弧で続ける。
『走ってる車をよく見ていると、車高が低くなっていくのが分かるわよ』
2人の目がきらきらと輝く。
「あなた存在感ないと思ってたけど、観察力すごいわね」
「あなたがいてよかったわ」
3人目は更に続ける。
『自転車見てても、やっぱり沈んでいくのが分かるわよ」
2人はもはや腰から上をテーブルに乗り上げており、3人目に噛み付かんばかりだった。
「それ、立派な能力よ」
「すごい能力よ」
3人目の婦人は自分でも驚いていた。自分にも人を惹きつけるような話が出来るのだ。彼女は興奮していた。
『これが、超能力』
「いやいや」
「超能力ではないから」
パチンと夢から覚めたように2人は身を起こし、すくりと立ち上がった。
「マスター、御勘定」
そして乱暴に鞄を手に取ると、バタバタと店を後にした。3人目の婦人は3人分の代金を払い、慌てて2人を追いかけた。
author:talk-street, category:読むコント, 01:08
comments(1), trackbacks(0)
読むコント「乗客」
乗客223名を乗せたジャンボジェット機が着陸に失敗し、滑走路に落下。炎上。
消火作業の末ようやく運び出された乗客は、全員、骨折だった。
乗客は至急病院に搬送され緊急治療を受けた。
ところが、搬送された病院で爆発事故が発生した。乗客はおろか、医者や他の患者までもが爆風をもろに受け、ひどい骨折を負った。皆は燃えさかる病院から三々五々飛び出し、タクシーを呼び止めると分乗した。ボッキボキに折れており、非常に心配だった。タクシーは町を出て、農道を抜け、山の入り口に入るとさらに奥へ奥へ登っていった。
20分後。山頂に到着した皆は、折れた体をいたわりながらヨタヨタと町を見下ろせる場所に立った。空港と病院からはまだ煙がもくもくと上がっており、それは事故の大きさを物語っていた。


author:talk-street, category:読むコント, 13:29
comments(0), trackbacks(0)
コント「お別れ」
「それから僕は真面目になりました」
洋介は改まった場を設け、仲間たちにそう言いました。
「おいその話し方やめろよ」
「らしくねーよ」
「気持ちわりーよ」
すっかり変わった洋介の様子にあっけに取られ、旧友たちは口々に責め立てました。
「そのピシッとした服装はなんだ」
「その笑みをやめろ」
「黙ってないで何とか言えよ」
洋介はピシッとしたスーツに身を包み、にこやかな笑みをたたえたまま旧友たちの言葉を受け止めていました。
「洋介!」
「洋介!」
「洋介!」
洋介は表情一つ変えず旧友たちの顔を穏やかに眺めると、くるりと背を向けゆっくりと歩き出しました。そのままどこまでも歩いて行ってしまう様に思えました。しかし2mほど歩いたあたりで立ち止まると突如身を翻し、歯の抜けた醜い笑顔を向けこう言うのでした。
「やっぱ粗暴にしか生きれねぇなぁ」
author:talk-street, category:読むコント, 01:19
comments(0), trackbacks(0)
コント 「イエイ」
少年は横断歩道を雲に立て掛け元気に駆け登りました。
途中、地面から勢いよく伸びる霜柱に追い抜かれましたが、少年は臆することなく登るのでした。
登ることで靴紐は抜け落ち、少年は不安定な靴を履く羽目になりましたが、足の指を目一杯突っ張り決して靴を離しませんでした。
「ああ、しまった。この横断歩道はクロスしてるぞ。左右のどちらに行こうかな」
少年は左を選びました。
遠くに暮らす餓鬼大将の顔が右に見えたのです。餓鬼大将は今も餓鬼大将のままで、突如地上を離れた横断歩道に驚きたじろぎ必死に横断歩道の白いところにしがみついていました。
「飛び降りちゃ駄目。上なり下なり、時間をかけてどっちかに行って」
少年はもはや青年の姿であり、雲の上に着いたころには年老いてよぼよぼでした。そしてかねてから抱えていた遺影をよき場所に立て掛けたのです。
暗転
author:talk-street, category:読むコント, 17:32
comments(0), trackbacks(0)